Random thoughts of Ken Azuma

Managing Director - APAC region / Senior UI Architect at Infragistics

"A-Go" as a tool for developers

先日のMicrosoft MVP 向けイベント、Community Connection 2017 にて、「開発者にとってのツールとしてのエイゴについて/"A-Go" as a tool for developers」と題して英語との付き合い方についてお話ししてきました。結構思い入れのある内容ですので、BLOGポストとしてまとめておきます。

"A-Go" (English) as a tool for developers from Ken Azuma

エイゴ?A-Go?

スライドにどうして「英語/English」と書かなかったかというと、これまで多くの人がなんとなく英語の必要性を感じていながらも、どうしても英語に踏み出せなかったり続かなかったりするのには、大なり小なりこれまでの英語教育や英語を使ったことによる悪い記憶からくる「恐れ」や「ビビり」があるからではないかと考えています。特に真面目な方ほどそういう傾向にあるので、いっそ、少なくとも入り口としてはこれまで英語と捉えてきたものとは全く違うものとして割り切って初めてみませんか?という提案として「エイゴ・A-Go」と書かせてもらいました。
逆に「恐れ・ビビり」を無くしてしまって、根拠のない自信を身につければ、明日からエイゴを使い始めることができる、と断言できます。
結局やることが英語であることに違いはありませんが、とにかく少しでも精神的な敷居を下げておきたいんです。

自分がどうやってエイゴ→英語を身につけてきたか

どの程度参考になるかはわかりませんが、私のこれまでの取り組み方について共有します。前提として、私は帰国子女でもありませんし、留学も含めて海外での居住経験は全くありません。最長でも出張で2週間行ったくらいのものです。洋楽が好きで、なんとなく「英語かっこいいな」くらいに思っていましたが、それを理由に英語の成績が良くなるようなものでもなく、常に平均点取れるか取れないかくらいでした。
 
おそらく最初の大きなきっかけは、自作PCとかに興味を持った高校・大学くらいの時だと思います。その頃インターネットはありませんでしたので(!)、とにかく情報源といえば梅田の紀伊国屋(本屋)の洋書コーナーだけでした。この頃は書いてある内容はなんとなくしかわからないものの、興味のある内容が英語でしか書かれていないから読まないと仕方ない、という割り切りには繋がったのではないかと思います。
 
次の転機は、おそらく初めて海外のカンファレンスに参加した2,000年の時です。当時私はColdFusionという製品の日本のユーザーグループの代表をしていて、製品についてはそれなりに詳しいつもりで、現地に行ってもそれなりにコミュニケーションできるだろうと考えて現地に行きました。ところが実際には、見事に全く話ができませんでした。この時をふりかえると、多分に「ビビり」が大きかったのだと思います。この経験をもとに、私としては「今後とにかく、最初は通じるか通じないかは別として、とにかく海外の技術者との接点を絶やさないように、保ち続けるようにしよう。そのためにはとにかく熱意を持ってコミュニケーションし続けよう」と決めました。
 
並行して、もともと好きだったこともあって海外ドラマを意識してみるようになりました。流石に最近はそこまでやってませんが、当時はだいたい同じ内容を3回、最初は字幕ありで、次はCC(Closed Caption、英語字幕ですね)で見て、最後は字幕なしで見ると言う感じです。これでFriendsとかアリーMy love(Ally McBeal)とか、LOSTとか24を見まくった結果、「状況に対するフレーズを丸覚えする」と言うことをするようになりました。文法どうこうではなく、こう言われたこう返す、相手がこんな感情の時にはこう言う、と言う感じです。24なんかは、利用できない状況をたくさん覚えてしまいましたけど。(Put your guns down, now! なんて状況実際ありませんからw)
 
その後2回ほど転職して、セカンドファクトリーという会社にいた時に、マイクロソフトとの接点を初めて持つようになりました。当時としては大変新しいテクノロジーであったWPFSilverlightを取り扱うためには、とにかくマイクロソフト本社の担当者と直接話をする必要があり、メールのみならずカンファレンスコール(当時はSkypeなどではなく、電話会議という感じ)にも参加していました。なんとなく英語でなんとか「なりそう」ということで私が担当の一人になっていたのですが、会議の向こうには俺にも意見させろ!という各国の担当者が間髪入れず意見してくる環境だったので、小さなことを伝えるのも一苦労でした。ここでは「言いたいことを言うために必要ならば話を止める」と言うことをある程度できるようになりました。
 
その後、なんと海外のカンファレンスで発表する機会を得ることになりました。Microsoft Mix というデベロッパー・デザイナーのコラボレーションにフォーカスしたカンファレンスだったのですが、都合4回のセッションで話をしています。初年度はほとんど棒読みで時間を終えるのみの完全敗退となり、特に2年目に関しては相当に練習をして臨みました。伝わる表現、間の取り方、アメリカンジョークの仕込みwなども海外居住経験の長いMSの皆さんにレビューしてもらいつつ、なんとか形にできました。この段階では、「特定の相手に伝えるための伝え方がある」と言うレベルに来ていました。ここで現職の役員たちがセッションを見ていたのも現在に至るきっかけになっています。
 
その後現在のインフラジスティックスに参加し、少なくとも毎週上司に1−1で報告をしなければいけない状況になりました。営業的にはもちろんいい時も悪い時もあるので、常に説明の連続です。ここではやり方どうこうはともかくとして、とにかく「聞いて喋る場数をこなす」ことの繰り返しだったように思います。もちろん、ここでも他のディレクターがどう「言い訳」をするかなど、特定のフレーズを学んでもいると思います。
 
ここまで読まれて、私が何か特殊な状況に置かれたからこそ学べたのではないか、と感じられるかもしれませんが、どちらかと言うと自分からそう言う状況を選んだ結果だと思います。重要な点としてどの状況においても「準備ができたから始めたのではなく、準備はできていないがやらざるを得ない状況にした」というところがあります。多くの方が、例えばTOEICで何点取ってから留学しようとか、今のレベルではとても太刀打ちできないのでまだ仕事で英語を使う職場にはいけない、というような意見を持っています。もちろんある程度の準備は必要かもしれませんが、まずはそこに行く理由があるのであれば飛び込んでしまうのが手っ取り早いと思います。
 

忘れてしまいたい「恐れ・ビビり」とはどんなものか

一歩踏み出して、頑張って喋ってみたものの、相手が「はぁ?何言ってんだこいつ?」みたいな感じになってその後ショボーンてなって話せなくなった、なんてことはよくあります。私もありました。何ですが、ほとんどの場合、相手はこちらが思ってるほど「はぁ?」とはなってません。「what do you mean?」「sorry, I don't understand」「what's that?」どれもよく言われますが、何度でも通じるまで話せばいいんです。相手はこちらが何を言ってるのか知りたいから聞いてきていると思ってください。特にアメリカの人なんかは、英語を話す人が全員英語ネイティブじゃない前提に立てていることは多いです。IT業界だと特にそうかもしれません。
 
あるいは、いいペースでしゃべっているスピードを止められずに話したいことも話せなかった、ということもあるでしょう。スライドにもロッシェル・カップさんに教えてもらった一旦会話を遮るフレーズがありますが、場合によってはボディランゲージでもなんでも使って、言いたいことを伝えるために止めましょう。何も発言しないのであれば、そのミーティングに何で出てきたんだっけ?と思われるだけです。
 
 基本的に相手は、「そこは空気を読んでうなずいておけ、とは思っていない」と考えておいたほうがいいと思います。なんとなく、Yeah, yeahを連発した結果、結局何考えてんだ?とか振られた時のバツの悪いことといったらありません。わからなければ即止めてでも聞く。自分の考えが違うならできるだけ早く伝える、というのが基本になるかなと思います。今まで持っていた恐れやビビりは、この機会に忘れてしまいましょう。英語を使うのではなくて、まずはエイゴを使ってみるのですから。

一番必要なものは「根拠のない自信」だ

完全に自己流の解釈ではあるものの、大前提として自分でコミュニケーションする内容に自信を持って、次に自分のエイゴにも別に根拠なく自信を持ってしまって、ボリュームも以前英会話した時の3倍で話す気で行くとまぁまぁうまくいきます。「おぉ、なんだかわからないけど、こいつは何か言いたいことがあるみたいだな。多少言葉は変だけど聞いてみよう」と思わせればこっちのものだと思います。ほとんど松岡修造さんの教訓みたいな話になってますが、ほぼ経験上間違い無いかと思います。

今や学習コストはとても低い

NetflixやHulu、AmazonPrimeなどはどれも英語字幕もある番組が多く、私がやったようにDVDボックスを借りる(買ってはいないw)必要もありません。また、実際に話をする機会もネットのおかげでかなりたくさん見つけることができます。meetupなんかを検索すればすぐに英語のコミュニティが出てきますが、もし東京付近にいらっしゃる方であれば、ぜひ私たちがやっている「en-jp」の参加も検討してみてください。

www.meetup.com

そもそもなんでやっぱり英語やんなきゃいけないのか、という話については長くなったので次で書こうと思います。