Random thoughts of Ken Azuma

Managing Director - APAC region / Senior UI Architect at Infragistics

あなたが変えるべき世界が見つからないからといって焦る必要はない

たまにお仕事に関して若い方(って書き出しがジジイなんだけども)から相談を受けることがあります。

よく聞く意見を挙げると:

  • 本当にやりたいことが見つからなくて焦っています
  • 土日も技術コミュニティに参加するほどのめり込んでいるやつに仕事で勝てる気がしません
  • 仕事にフルコミットしてるわけじゃなく、生活や趣味のために仕事をしてます
  • どれくらい楽に仕事できるかを考えています
  • もうなにもかもが決まってしまっていて、自分に変えられるような状況ではありません
  • 総合的にこの先自分が仕事でどうなっていくのかわからなくなっています

などなどです。多くのケースでは、かなり優秀な方からこういうことを聞くことになります。このところ色々とそのことを考えていたので、ちょっとまとめてBLOGで書いておきたいと思います。

有言・無言のプレッシャーを気にしない

まず最初にお伝えしたいことは:

仕事でフルコミットできなければ生きてる意味がない、といったモーレツ人間からの妙なプレッシャーは気にする必要がない

ということです。現状で40代以上の人の場合、多くがそう考えるのを美徳と考えていたり、とにかく成功したいという意思が強いゆえに多い意見だったのではないかと思われます。

前述のバレットで上げた項目全てに、胸を張って自分は全て違う!と言える人がどれだけいるのか。そんなもん、この進歩の早い世の中でそう簡単にわかるはずもありません。

f:id:ken-azuma:20200207153116p:plain
引用:ビジネスモデルYOU

仕事が天職(Calling)として見つかっている人は極めて稀であって、多くの人は生活の糧(Job)として、否応なく働いています。この状況をAIの進歩の先にあるベーシックインカムVer.100みたいなやつが解決してくれる可能性は大いにあると思っていますが、すくなくとも今はそうではありません。

じゃあどうしたらいいのかというと、まずは投入する努力が最小限で最大の報酬を得られることを考えたらいいと思います。自分が得意とするところ、あるいは一番器用にやってしまえるところを選ぶといいと思います。

ちなみに、上司との面談で将来をどう考えているのか?数年先のビジョンがはっきりしているのか?という類の質問を受けた際にも、それが見つかっていないことを恥じる必要もありません。だって見つかっていないんだし、そこでは見つけさせてもらって無いからです。とりあえずその面接は目をキラキラさせてうまく取り繕って切り抜けましょう。

すでに自分が心からコミットできるようなことが見つかっている人にとっては、急激にその「フロー状態」とも呼べる状態が普通になってしまって、見つかっていない人に対して、「なぜ自分が楽しめることをしないんだろうか」という純粋な疑問を抱きがちです。創業社長の皆さんや、シリアルアントレプレナーの皆さんなんかは典型的です。あとはリクルートみたいな猛烈営業組織に所属していた人なんかもそうですね。見つからない状態がわからないか、さっさと忘れてしまっているだけなんです。

なので、これらの人達がなにを言おうとも、だって見つかってないんだし仕方ないじゃん、と割り切ってしまってはいかがでしょうか。

f:id:ken-azuma:20200210143122p:plain

私もいまだ天職と思えるような仕事は見つかっていません。徐々に世の中のすべての仕事全体からということでいえば、範囲を少しは狭くなってやるべきことがある程度おぼろげに見えていると思いますが、完全に一点集中できるほど明確ではないと思っています。

これまでも、おそらくこれからもしばらくは「自分が一番楽をできる状況がどんなものであるか」ということを念頭に据えて仕事を選んで行くと思われます。天職を見つける、とかではなくて、楽するベストの道を見つける、というのであれば、なんとなく考えられる気がしませんか?

徹底的に「楽」をしよう

「楽」というのはいろいろな意味があります。労せず稼げる、仕事自体が楽しい、その環境でリラックスできる、などなど。

瞬間的な踏ん張りとしての残業などがあるかもしれませんが、その状態をずっと続けることなど不可能だと思っています。

 


引用元: https://note.com/gorolib/n/nc44358a800af

こちらは見たことがある方も多いかと思いますが、日本の「生きがい」という概念を海外の方が図示したものがオリジナルになる図表です。(私はこちらのNoteから引用させていただきました。ありがとうございます。)

前述のバレットでお話を聞いた皆さんは多くの場合3、あるいはC、「PROFESSION」あたりにいらっしゃるのではないかと思います。それって結構当たり前で、生きていくためにもそうなりますよね。「4」の需要という要素も関係あることでしょう。そうでないとあとでも書きますが「継続性」という意味でも難がありますし、換算される価値(多くの場合お金)も目減りしてしまいます。

問題は「1」の好きかどうかという点がどれくらい入るのかということですね。 

仕事が好きじゃなくても問題ないが、長く続けるとしんどい

仕事が「好きじゃなくても別にいい」と私もケースによっては考えていますが、「楽である」ことを求めて「楽であり続ける」ことを考えた場合、ある程度自分が好きなことでないと長くはやってられないということになるんじゃないでしょうか。

ここで問題になるのが「今の仕事でどれくらい長く働くのか?」「何歳くらいまで働くのか?」という問題です。人間はどうしても同じことを繰り返しやっていると飽きるので、楽であり続けるためには、結局自分がある程度でも好きと思って自発的に動けるような仕事でないと長続きしないという特性があります。

そうなってくると、これまでの経歴などをもとにして転職するなどの手段が見えてくるのですが、前述のチャートのCの状態でもこれをどんどん行うことができ、手取りも増えていく人はかなり稀有な存在なんではないかと思います。ある程度楽しめないと、楽をできないと仕事で蓄積することは難しくなってしまうと思うのです。

 よく話するのが駐車場の管理人に例えて「仮に駐車場の管理人として毎日駐車場のボックスに入り、掃除しながらずっとチケットを切り続けていれば年収1,000万円もらえるとしたらやるか(やり続けるか)」という疑問があったときに、中長期を考えてもそれでいいという人は少ないのではないかと思います。もちろん短期的にそれで貯金してやるというのはありなのかもしれませんが。

下記の図表は、「人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点」という書籍から引用したものです。(改定されてタイトルがよりダイレクトになりました。以前は「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」でした。)

f:id:ken-azuma:20200207153442p:plain
引用元:人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点

仕事をする自分をP/L(損益計算書)で捉えてみることが紹介されています。得られる報酬や満足感を「売上」ととらえ、対価として提供する労働やある種の苦痛?を「経費」とらえ、その差分で「利益」が出る状態を「自己内利益」のある状態であると説明しています。もちろん、左の状態Aで有るべきです。最低でもイーブンでなければなりません。

f:id:ken-azuma:20200207153520p:plain

引用元:人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点

仮に自己内利益がある状態Aであっても、時間とともに満足感は逓減していくため、投入する経費が変わらないのであれば「損が出る」状態が生まれます。まさにこの状態が長続きしない状況であると言えます。常に文句を言い続けている状態でもあり、精神的にもよろしくありません。

f:id:ken-azuma:20200207163547p:plain

引用元:人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点

一方、BS(貸借対照表)でも考えてみることが大切だとも解説しています。P/L視点だけだと短期的な分析にしかなりませんが、誰しも資産を蓄積することで「稼ぐ力」を蓄積して、「明日も楽にできる状態」をどう作り出せるかがポイントになります。

資産もときに陳腐化してしまう可能性があるので、図表の中にも書いていますが何らかのポータブルスキルを身に着けていくことが重要になってきます。以前からこのブログでもポータブルスキルとしての英語をオススメめしていますが、

kenazuma.hatenablog.com

別に英語だけでなく、明日の自分を楽にし続けてくれるものなら何でもいいと思うのです。そして、このBS思考において「ある程度好きなことをやれているか」という点が資産運用の難易度を大きく左右することになります。好きであれば。基本的な楽指数?が高い状態なので、良いスパイラルで資産の金利も高い状態です。しかし、嫌なことをやり続けている状態ではマイナス金利にもなりかねません。

長期的に見れば、持続可能な状態を作るために再生産が困難な状況ではなくやりがいを見いだせるような仕事を見つける必要があると思いますが、このステージにおいても、必ずしも「世界を変える」必要などありません。とにかく「楽を追求」することを続けているならば、「労働が憎い」と思えるような職場に長くいることはリーズナブルではない選択だということになるかと思います。

選択肢は世代に関わらずほぼ無限に存在する

言わずもがな、現状では転職市場は非常に活発です。あるいは、副業すらも許可されることも多くなってくるでしょう。

このような状況では「楽を追求する」ことはこれまでよりもやりやすくなっています。自ら環境を変え、人に状況を委ねず、ひたすら最小限の努力投入で最大限のリターンが得られる状況を探すのです。想像以上に世界は広いので、視野を広げてみれば自己内資産を最大化できる環境、あるいは「仕事の楽しさを気づかせてくれる、拡大してくれる職場」が見つけられることと思います。

それまでは、「俺たちは傭兵だ、文句あるか?俺を雇っておいたほうがあんたのためだと思うぞ。理由はこうだ。」という感覚でいればいいと思います。もしかしていつか天下獲りたくなるかもしれませんよね?そうしたら一心不乱にP/LもBSも忘れて、獲りに行けばいいと思います。(それに気づいたらぜひ教えて下さい!)

でっかい世界だけでなくて、身の回りの小さな世界を変えたり、所属する世界を引っ越ししたりすることで、自分がもっと楽をできる環境は自分で生み出すことができると思っています。周りにいる転職に成功した方にでも話を聞いてみてください。

念の為に申し上げておきますが、もちろんP/LもBSも仕事の世界だけで作るものではありません。週末に真剣に取り組んでいることがあるならばそれでいいじゃないですか。その存在が資産の逓減を緩やかにしてくれたり、金利上昇のきっかけをくれることもあると思います。トータルでバランスが取れていて、トータルでプラスであれば人生楽ってもんです。ただ、7分の5がただただしんどい、というのではバランスが取りにくいことが多いですよ、というだけであります。

常々、天職は、雲の切れ目から急に光が指すように、確信を持ってある日現れるものと信じています。あぁ、これが私のやることなんだ!とわかるための道は、決して意識の高い崇高な聖なる道だけではなくて、思い切り楽をしようと考えるところにもあるんじゃないかと思い、このブログを書きました。ぜひ感想やご意見等教えて下さい。

 

Microsoft Regional Director を退任します。

2015年より4年務めた Microsoft Regional Director を退任することになりました。知らない方も多いかと思いますが、Microsoft MVPとは違って、特定の技術領域を持たずに地域を代表してマイクロソフト側にビジネス観点を含めたフィードバックを伝える「ご意見番」みたいな役割です。日本には直近だと私含めて2人が就任していました。

任期は6月末までなのでまだすぐに辞めるわけではないんですが、公式にマイクロソフト側にも伝えているので公表しておきます。

なんで辞めるのか?

基本的に本業が忙しいというのが一番の理由なんですが、自分の軸足とマイクロソフトの進む方向性に少しずれも感じていて、かつMVPからだと10年以上もこのコミュニティに所属し続けていることで、ある意味「心地よすぎる状態」というか、一度ここから抜けて再度自分の立ち位置を作り直そう、と思ったことも理由の一つです。

自分の軸足といえるのは、これまでずっと「ユーザーインターフェイス」という大きなテーマに対して、デザインと開発、あるいはビジネス要件との重なりを模索するというものでした。一方、現在のマイクロソフトはAzureに全力を注いでいる状態です。もちろんWindowsそのものやデスクトップ・Web・モバイルといった領域にも力を入れていないわけではないと思いますが、かなり状況が変わっているとも感じています。

クライアントテクノロジーの世界は、全体として大きくWeb主体に変化していますが、Flutterのような全く別の選択肢も出てきていて、今は主業としてはこちらに集中しなければならないでしょう。

これまでマイクロソフト周辺のテクニカルコミュニティを通じて多くの出会いがあったし、それこそ今の会社に入るきっかけもありました。かつて頑張ってきたことで今ここに立っているわけですけれども、なんとなく最近は「貯金を切り崩している感覚」があり、もう一度しっかり色々なことに取り組みたいなと思っております。 

これからは

今後は、インプットとアウトプットの絶対量をしっかり増やしたいと思っています。勉強し続けないと頭脳の筋肉量も落ちてきてしまうので、ここは頑張りたいところです。

 

また、少し客観的な視点に立ってテクノロジーについても見極めていきたいとも思っています。

なにしろ、一度この大変快適なコンフォータブルゾーンから出て、もう一回勝負するか、という感じですね。

 本業中心にして、Infragistics Japanというチームの運営、そしてそこから得た知見のアウトプットを頑張ってやっていきたいと思っております。

感謝

Microsoft Regional Director Program / MVP Programを通じて得られたコネクション、知見、洞察、全てに感謝してもしきれません。今後もコミュニティからいなくなるわけでもありませんので、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。

心機一転、色々と頑張りまーす。

UXIFY Japan 2018 で講演しました:UIと合意形成

4月27日に行われたUXIFY Japanで久しぶりにUXがらみの講演をして来ました。

Home – UXIFY

こちらのカンファレンスは、弊社インフラジスティックスがワールドワイドで行なっているUXデザインにフォーカスしたカンファレンスで、今回初めて日本での開催をすることができました。

当日お願いしたスピーカーの皆さんは、参加者にはもうお伝えした通り前職のセカンドファクトリー様つながりの現役・OGの皆さんです。皆さんそれぞれ全く違う観点でお話いただけて、とてもよいディスカッションの始まりになったと思います。お願いした私自身も感無量でした。

 

私自身は「UIと合意形成」というタイトルで、あえてはっきりした対象であるUIに絞ってお話をしました。資料はこちらからどうぞ。PDFになります。動画はYouTubeにあります。


UXify 2018 Japan - セッション4: UIと合意形成

 

お時間のあるときにぜひ見ていただけると嬉しいです。当日のTwitterでも呟いたのでですが:

プロジェクトチームをRPGのパーティに例えてお話をさせていただきました。カルチャーの違うロールの間で、しっかりしたコミュニケーションと共通のゴールを持つことが大事です。

また、対象になるUIに関する構造分解についての話もさせていただきました。途中で紹介しているプロセスは、いつもコンサルテーションなどでも使っているものになります。

当日のアンケートからは好意的なご意見を多数いただきました。参加いただきました皆さま、本当にありがとうございます。動画をご覧になった方からも、ぜひ感想など聞かせていただけると嬉しいです。

 

 

AIの時代になぜ英語を勉強しなければいけないのか

前回英語について書いてからずいぶん間が開いてしまいましたが、今回は何故英語が必要になるのかについて書きます。

 

 "A-Go" (English) as a tool for developers

 

こちらのスライドの6ページ目以後を見てください。おそらく、程なくして実用的な音声認識 + 自動翻訳はかなりの精度(個人的には60%くらいのレベルに数年で到達するように思います。)を実現してくれるでしょう。そうなると、もう英語を勉強する必要はないんじゃないか、と思うのも無理はないと思います。それでも、私は今英語を勉強することに意味があると思っています。

 

文化的背景・考え方を知るための英語

ある文化や思考の過程は、長い年月をかけて言語と相互作用を持って練り込まれていて、言語を学ぶことで相手の背景にある基本的な考え方を知ることができます。

例えば、日本語と英語の間でよくある「Yes/No」問題というものがあります。ここに座ってもいいですか?= "Do you mind if I sit here?" と聞かれた場合、問題ない、肯定したいという気持ちが "Yes" という単語と紐づいて Yes と答えてしまいそうになりますが、座っていいのであれば No, please となります。

多くのケースで、日本語でのはい・いいえ、は自分を含む少し広い環境や状況に対して肯定・否定をすることが多く、英語の Yes / No においては個人が自分がどう考えるのかを表現することに使われることが多いです。このような単純な例以外にも、単語の成り立ちや慣用句などからは文化的な背景を読み取れることも多く、単純に「翻訳」することにあまり意味がなかったり、うまく意味が通らないものもあります。映画の字幕に違和感を覚えたりするのはそういった違いが原因になっていることも多いです。相手をよりよく知るためにも、言語を学ぶことはよい気付きを与えてくれます。

 「論理コミュニケーション養成ギプス」としての英語

少し自分の業界に近い話をします。落合陽一さんの著書「これからの世界を作る仲間たちへ」で、落合先生はこう書かれています。

「大事なのは英語力ではありません 。たとえばコンピュ ータが翻訳しやすい論理的な言葉遣いが母語でちゃんとできること 、つまりそのような母語の論理的言語能力 、考えを明確に伝える能力が高いことのほうが 、はるかに重要です 。」

これには完全に同意です。最近Amazon Echoに話しかける時にすら感じますが、はっきりと順序と論理が通った発言をすることは、「コンピュータが翻訳しやすい論理的な言葉使い」をするのにとても大事だと思います。一方、日本で日本語を使いながら曖昧な表現とハイコンテクスト(相手との間に暗黙的な文脈の相互理解があること)な状態に「浸かって」生きてきた我々にとって、日本語で曖昧さを排除することがとても難しくなっています。

 

社内でミーティングをする場合にも、日本語をベースにしていると代名詞やなんとなくの表現が多くなって来ることに気づきます。一方、英語で話すことを矯正すると、そもそも曖昧な表現を知らない(!)し、英語の構造上結論を先延ばしにもしにくいので、英語が「論理コミュニケーション養成ギプス」のような働きをしてくれます。これは、日本における慣習を説明しなければいけないようなケースでも同じで、大会社が「うちはこういう会社だから」みたいな話をしたとしても、「こういう」とは一体どういう状態なのか、しっかり説明できる状態でなければ英語で伝えようもありません。

実は、日本語をベースとしたコミュニケーションであったとしてもうやむやにできないことが、なんとなく共有した状況や雰囲気で曖昧になってしまうことは多々あります。この状態だと、弊社の本社メンバーや他の拠点のメンバーには伝えようがありません。コンピュータに翻訳しやすい状態とは、曖昧さを排除した状態だと理解しています。その曖昧さすらも学習させる可能性がありますが、そうだとしても一度その曖昧な状態を通訳して教えているはずです。私としては、英語をそのようなものとして捉えています。

 

また、伝える相手が人間だけでなくコンピュータだという前提に立った時に、その論理の組み立て順は「コンピュータを作っている人の論理順序に従っている」ことが多くなるでしょう。そう考えた時にも、現在のコンピュータの大半が英語圏からやってきたものであり、その論理構造や順序をとらえることが重要になってくると考えています。 

お金に変わるものとしての英語

 また、今のところ英語をある程度使える(少なくとも英語に抵抗感がなく、今すぐに喋れないとしても短期間に本気で習得することを決めている、というレベルで良い)ことによって、簡単に年収が上がってしまう事実もあります。昨今の「働き方改革」をしっかり意識している会社(というよりそれが当たり前である会社)は、英語を業務に必要としていることが多いと思います。私自身も採用をしているのでわかりますが、英語を条件にした途端に人材の母集団は急激に減ります。この状況があとどれくらい続くかどうかはわかりませんが、少なくとも短期的に勉強する対象としてはリーズナブルではないかと思います。

 

文化的な認識の違い、論理構造や順序の違い、70億人相手にする時に相手が私たちに合わせてくれるか、あるいはこちらが相手に合わせにいくかは自分の気持ち次第だと思っています。

 

とりあえず今持っているものを使うことから始めよう

 

私は現在、英語を喋ってみるコミュニティ「en_jp」を運営しています。月一程度でmeet up を渋谷で行なっています。すでに喋れる人、毎日英語を使っている人から、人前で英語を喋ることはほぼない人まで様々なレベルの人が来ますが、とにかくこれまで学んで来た英語を「使う機会」を提供しようとして始めているものです。是非、恐れずに今持っている英語を使っていただき、間違っていれば修正すればいいと思います。みなさんとお会いできるのを楽しみにしております!

1年間 Microsoft Teams を導入してみた話

弊社インフラジスティックス・ジャパンで1年間 Microsoft Teams を導入してみた実感について書いていきます。前提として共有しておきますと、弊社はアメリカ本社のソフトウェア会社で、世界に大きくは6拠点に散らばり、日本法人は現在16名で構成されている会社です。日本法人には開発部門はいませんが、セールス・マーケティングデベロッパーサポート・ローカリゼーションファイナンスなどの部門が存在しています。他の営業拠点ではサポート部門やマーケティング部門を持っていなかったりするところもあるので、小さいながらもフル機能に近い部門機能を持つ拠点チームで、営業の範囲は 日本のほかオーストラリアや東南アジア全域を含むAPACになります。

全社としてMicrosoft Teams を利用し始めたわけではなく、本格的に利用を始めたのはTokyo Officeが先です。Office 365 は全社で契約しており、Yammer や SharePointSkype for business などは日常的に利用している状態でした。もちろん、コミュニケーションの中心はメールが主流だったのですが、個人的にもOutlookがデータベース化している状態を何とかしたかったですし、もっと素早い情報共有ができるインフラが欲しいと思い Teams を使い始めました。

チームメンバーからの最初の反応

すでにお客様やパートナー様との間で Slack を使っているメンバーもいて、どちらかというと Slack の方がいいんじゃないか、という反応はありました。

正直、その頃のTeams ならば Slack の方が良かったと思うのですが、その他の office 365 の利用との連携を「期待」していたことと、今は少し連携も始まっているものの当時は全く外部との連携のない内部に閉じた環境であることも、逆に安心に繋がるところもありました。

そもそもチャットベースの共有ツールを使っていなかった人にとっては、「今までと何が変わるかわからない」という反応も多かったです。この辺りは、全員が手持ちのスマホにアプリを入れて使い出す頃から徐々に変わってきたように思います。メールじゃダメなんですか?という反応に対しては、簡単に全員に共有でき、それぞれの環境で同じメールが冗長に存在することもなく、もっと気軽に共有できることに意味はあるよ、ということで何度も話をしてきました。今ならこちらの記事:

Reduce Email with Microsoft Teams (how and why to do it) – Matt Soseman's "The Productive Cloud" Blog

なども参考になりますよね。

初期の利用の変化

まずは一般( General )・Randomチャンネルのみで共有事項の運用を開始しました。General では全体への共有事項、 Random では雑談も含めて何でも書いていいよ、という運用でした。個人的に気をつけていたのは Random の気軽さで、できるだけ敷居を下げようとしょうもないことを書いたりもしていました。

f:id:ken-azuma:20171213173517p:plain
(たまたま飲み会の調整をしているところです)

それでもなかなか利用は思うように進みませんでしたが、比較的初期の段階で Attendance というチャンネルを作って運用開始し、その日は直行ですとか、家族が体調不良なので在宅勤務しますとか、その日勤務の状況について共有するようになりました。今まではメールで全員宛に送っていたものでしたが、ここはすんなりと Teams 利用が受け入れられた瞬間だったと思います。それぞれの組織で違うかもしれませんが、誰でも共有することが当たり前になっているものを置き換えることをすると Teams の利用を進めやすくなるのではないかと思います。

f:id:ken-azuma:20171213173730p:plain

最初の頃はチャットはあまり使われていなかった

当初は Teams を使い始めた人でも、1対1/1対多のどちらもチャットはあまり使っていなかったと思います。従来から Skype for Business も導入されていて、拠点間のミーティングや在宅勤務では利用されていましたが、チャットはほとんど使われていなかったと思います。

この辺りは、意識的にチャットでのコミュニケーションを始めるようにすることで少しずつ変わってきていますが、どうしても外部から来たメールがきてんんとなって話が始まることもあるため、簡単にチャットへ「転送」することができないのでなかなか利用が進まないのだと思います。ここは今後の機能追加に期待したいところです。

一方チャンネルへの転送はチャンネル毎のメールアドレス取得が可能なので、どんどんTeams側へ話を持ち込んでしまうようになってきました。

ファイル共有に関しても、当初は従来どおりSharePointを利用することがほとんどでした。リンクを貼るだけの対応でしたね。

次第にチャンネルが分化していった

当初チャンネルは General と Random の二つしかありませんでしたが、やはり部署毎トピック毎にチャンネルが分化していくことが徐々に起こりました。

対象を分けたり内容を分けたりするための自然な流れだと思いますが、特に最初はあまり細かく分けないで良いと思っています。慣れるまでは色々なところが対象にならなくていいと思いますし、意外に検索もしっかり効きますし、きになるスレッドや書き込みについてはブックマークしておくのも有効な方法です。

重要な顧客のプロジェクトなどは別途 Teams サイトを立てることになった

コンサルティングなどのプロフェショナルサービスを提供させていただいているお客様などの場合は、Teamsサイトを別途区切って立てるようにしました。後述するPlanner などを利用する場合の歯切れの良さもありますし、参加者そのものをしっかり分割したい場合には、Teamsごと分けてしまった方が良いと思います。

タブの活用

Teams が Office 365 の一部であり、それを利用した連携機能として最もわかりやすいのはタブ機能だと思います。それぞれのチャンネルにどんどんタブとして機能を追加していくことが可能です。

最初に利用が始まったのはOneNoteタブ

ある程度スレッドが長くなってくると、その中で決定事項や課題事項がまとまってくることがあるのですが、これを過去スレッドの検索だけで探すのは、できなくもないけれども面倒でもあるので、ある程度溜まったら OneNote タブを作成してまとめてしまうことが多いです。Wiki を使うケースもあって、サポートチームは以前から Wiki の利用に慣れていたので Wiki タブを早い段階で使い始めました。

ファイルタブ

そもそも、SharePoint のみを利用していた時にも、あまり同じファイルをバージョン管理を利用してバージョンアップしていくことはなくて、どうしても手動でファイル名にバージョンを加えたりしていることが多かったです。

この部分は Teams になったからといって何か変わるわけではありませんが、スレッドでのコミュニケーションの中で、ある特定のファイルを対象にすることによって、自然と一つのファイルを使うようになっていくことができました。これは結構大きな成果だったと思います。

弊社ではほとんどのケースでファイルやフォルダなどのアクセス権限は設定がなく、誰でもほぼ同じファイルにアクセスすることができています。(もちろん人事関係など例外はあります)もし厳密な権限設定が必要な範囲が大きいと、OneDriveベースの共有だと間に合わないことも出てくるのではないかと思います。この辺りは向き不向きもありますね。

Plannerタブ

決定事項をまとめるだけではなくて、もちろんコミュニケーションの結果課題がたくさん出てきます。 Teams の導入前は Wunderlist を使って共有タスクを管理していましたが、せっかく使えますし、カンバン的なビジュアルも良さそうだったので Planner を使うことにしてみました。当初はサポートチームがコンサルティング用のサンプル作成タスクを共有するために使い始めました。(サポートチームは色々と Teams を実験してくれていて、知らないうちに機能が増えていってありがたいです。いつもありがとう!)

複数チャネルを運用していると、チャネルごとにPlannerを立てることがあまり考えられていないようで、運用に工夫が必要になりました。Planner の hub の方にも反映されなかったりするのです。なので、今の所はできるだけ 「Teams サイトに Planner は一つ、複数欲しければできるだけバケットを追加して対応する」方法でやっています。Planner 側でバケットを絞り込んだりする機能は欲しいところですね。

従来からタスク管理にはWunderlistを使っていたのですが、共有タスクは徐々にTeamsとPlannerへ移行して、個人タスクのみが使われる状態になるだろうと思います。来年頃にはToDoも機能が充実するでしょうから、そうなれば移行ができるかもしれませんね。移行ツールもありますし。 なんだかAI連携していくらしいToDoには期待大です。

個人的にかなり利用しているアプリのPostIt Plusと連携させてみたいと思っています。スマホ側でやるなら今でもできますかね。

プラグイン

前述の通り、うちの技術メンバーを中心として、自主的にプラグインでの連携を色々と調べてくれていました。結局連携して使っているのは:

  • VSTS
  • Wunderlist
  • API経由での勤怠管理システム(BambooHR)との連携

といった感じです。 Flow や IFTT を使えばもっと細かいこともできるような気がします。

使っていて気づいたこと

チャットベースでどんどんコミュニケーションしていると、スレッドはコミュニケーションが多いほど流れていきやすいものです。会話が長くなると最初の方の話が思い出せないのに似ています。なので、ある程度まとまった情報は別のタブなどに記録してしまうのが基本なのですが、「ひとまず気になるものは即座にブックマークする」という運用をすることで、あとでまとめるにしてもやりやすく感じています。あとはすでに書いた通り:

  • まとまった形で残ったもの、例えば議事録のようなものはできるだけほかの方法、例えばOneNoteで残してリンクを共有する
  • コミュニケーションの結果タスクになったものについてはPlannerでタスクにする

こういった運用を前提として、あくまでもスレッドは、「流れていってしまっても良いもの」として運用した方が良さそうだとおもっています。

チャットベースのコミュニケーションには初めの挨拶も署名もありません。その分早いし手軽に感じます。なんだか最近、名前にSanをつけるのも面倒になってきているので、Teams内でmentionしたものにsanとかつけるのやめよう、と提案したところです。(弊社は基本的にKen-sanのような名前san形式で全員呼び合っています。役職とかつけませんし、苗字はたまに忘れますw)

慣れてくるにつれて、それほど整理されていない意見であっても共有することが有効であると実感することが多くなってきました。設計上、Teamsで同じグループでいる以上、その中で細かいルールは決めない方がいいし、なんでもお互いに共有するという前提の時にに向いているように思います。なので、もしかすると権限ガチガチの会社には向かないかもしません。

もちろん全員に見せるべきでないファイルもあるので、それらに関しては別の狭い領域としてSharePointなどに権限管理の上で保存しています。そのような運用ももちろん並行して行うことはできます。

やってみた中では、やはり初期の Random の運用が重要だと思いました。 なんでも書き込んでいいんだという感覚を知ってもらうことが大事だと思います。

 ほかのコミュニケションチャンネルとの棲み分け

Teams 以外にもコミュニケーションのチャンネルはあるので、そちらについても使い分けの考えを書いておきます。

メール

社外のお客様なども絡むコミュニケーションの場合に使っています。というよりも、現時点絵は使わざるを得ませんね。意識したいポイントは:

  • データベース化しないように適切に成果を別の形で保存することは必要

という点ですね。実感として、社内のでのCCメールは確実にTeamsの利用で減少すると思っています。

Yammer

社内でも技術情報のプロダクトチームへの質問など、書き込み量がそれなりに大きくなるものを中心に利用しています。

本社サイドでも Teams を使い始めたこともあって、一部でTeamsへの移行の動きもあります。境界線がぼやけやすいところかもしれません。

Wunderlistのコメント

タスクへの進捗確認やメモで使われていたのですが、コミュニケーションスレッドはTeamsへ移行していくだろうと思われます。個人的なToDoの管理、今日なにやることにしようといった宣言などには Wunderlist や MS ToDoはこれからもつかわれていくことでしょう。

SharePoint

長い間ファイルの置き場所として使われてきました。Teams を活用することで OneDrive 側の比重が強まる可能性はあると思います。今後も、本当にしっかり権限を分けたいファイルについてはSharePointを使っていくと思います。

OneDrive

個人ファイルの置き場所という性格が強かったのですが、前述の通り Teams と絡めて共有ファイルの置き場所という比重が高まりそうです。

今後の期待

ミーティング機能

Skype for Businessを常用している状態なので、現時点での Teams の画面共有やレコーディングなど一部の機能では不足を感じています。両者の差がなくなるくらいになるといいですね。

在宅勤務のメンバーもいる状態で、「今ちょっといいですか?」の先にあるようなコミュニケーションを即座に行うのであれば、流れ的にも Teams の方が向いているんじゃないかと思います。

まだまだ動作が重い

Web版も重量級ですが、アプリ版は特に遅く感じます。マシンスペックがイマイチなマシンだと、モバイルで見た方がいいやと思うくらいです。

現時点でTeamsがあまり見られなくなる最も大きな理由だとおもっているくらいなので、Elektronベースではないデスクトップ版の登場に期待しています。 今の所はiOS版が最も快適に感じます。

API連携やタブ連携

すでにできることも多いはずなので、色々試してみたいと思っています。 FlowやIFFTTとの相性が良さそうに思いますし、Office 365 グループとしての活用についてはそもそも構造がよくわかっていないこともあるので勉強して行きたいです。データの分け方に利用の仕方の前提があるように感じています。

今後他の事情を知らずに Teams が入り口になって利用が始まることも出てくると思うので、データの前提があるならもう少しわかりやすくなるといいですね。

最後に

Office 365 をすでに利用していて、まだ Teams を使っていないのであれば、プロジェクトベースなどの狭い範囲からでもいいので試してみることをお勧めします。Slack を使っているとしても良いところを実感できる所はあると思います。

現場からは以上です。

"A-Go" as a tool for developers

先日のMicrosoft MVP 向けイベント、Community Connection 2017 にて、「開発者にとってのツールとしてのエイゴについて/"A-Go" as a tool for developers」と題して英語との付き合い方についてお話ししてきました。結構思い入れのある内容ですので、BLOGポストとしてまとめておきます。

"A-Go" (English) as a tool for developers from Ken Azuma

エイゴ?A-Go?

スライドにどうして「英語/English」と書かなかったかというと、これまで多くの人がなんとなく英語の必要性を感じていながらも、どうしても英語に踏み出せなかったり続かなかったりするのには、大なり小なりこれまでの英語教育や英語を使ったことによる悪い記憶からくる「恐れ」や「ビビり」があるからではないかと考えています。特に真面目な方ほどそういう傾向にあるので、いっそ、少なくとも入り口としてはこれまで英語と捉えてきたものとは全く違うものとして割り切って初めてみませんか?という提案として「エイゴ・A-Go」と書かせてもらいました。
逆に「恐れ・ビビり」を無くしてしまって、根拠のない自信を身につければ、明日からエイゴを使い始めることができる、と断言できます。
結局やることが英語であることに違いはありませんが、とにかく少しでも精神的な敷居を下げておきたいんです。

自分がどうやってエイゴ→英語を身につけてきたか

どの程度参考になるかはわかりませんが、私のこれまでの取り組み方について共有します。前提として、私は帰国子女でもありませんし、留学も含めて海外での居住経験は全くありません。最長でも出張で2週間行ったくらいのものです。洋楽が好きで、なんとなく「英語かっこいいな」くらいに思っていましたが、それを理由に英語の成績が良くなるようなものでもなく、常に平均点取れるか取れないかくらいでした。
 
おそらく最初の大きなきっかけは、自作PCとかに興味を持った高校・大学くらいの時だと思います。その頃インターネットはありませんでしたので(!)、とにかく情報源といえば梅田の紀伊国屋(本屋)の洋書コーナーだけでした。この頃は書いてある内容はなんとなくしかわからないものの、興味のある内容が英語でしか書かれていないから読まないと仕方ない、という割り切りには繋がったのではないかと思います。
 
次の転機は、おそらく初めて海外のカンファレンスに参加した2,000年の時です。当時私はColdFusionという製品の日本のユーザーグループの代表をしていて、製品についてはそれなりに詳しいつもりで、現地に行ってもそれなりにコミュニケーションできるだろうと考えて現地に行きました。ところが実際には、見事に全く話ができませんでした。この時をふりかえると、多分に「ビビり」が大きかったのだと思います。この経験をもとに、私としては「今後とにかく、最初は通じるか通じないかは別として、とにかく海外の技術者との接点を絶やさないように、保ち続けるようにしよう。そのためにはとにかく熱意を持ってコミュニケーションし続けよう」と決めました。
 
並行して、もともと好きだったこともあって海外ドラマを意識してみるようになりました。流石に最近はそこまでやってませんが、当時はだいたい同じ内容を3回、最初は字幕ありで、次はCC(Closed Caption、英語字幕ですね)で見て、最後は字幕なしで見ると言う感じです。これでFriendsとかアリーMy love(Ally McBeal)とか、LOSTとか24を見まくった結果、「状況に対するフレーズを丸覚えする」と言うことをするようになりました。文法どうこうではなく、こう言われたこう返す、相手がこんな感情の時にはこう言う、と言う感じです。24なんかは、利用できない状況をたくさん覚えてしまいましたけど。(Put your guns down, now! なんて状況実際ありませんからw)
 
その後2回ほど転職して、セカンドファクトリーという会社にいた時に、マイクロソフトとの接点を初めて持つようになりました。当時としては大変新しいテクノロジーであったWPFSilverlightを取り扱うためには、とにかくマイクロソフト本社の担当者と直接話をする必要があり、メールのみならずカンファレンスコール(当時はSkypeなどではなく、電話会議という感じ)にも参加していました。なんとなく英語でなんとか「なりそう」ということで私が担当の一人になっていたのですが、会議の向こうには俺にも意見させろ!という各国の担当者が間髪入れず意見してくる環境だったので、小さなことを伝えるのも一苦労でした。ここでは「言いたいことを言うために必要ならば話を止める」と言うことをある程度できるようになりました。
 
その後、なんと海外のカンファレンスで発表する機会を得ることになりました。Microsoft Mix というデベロッパー・デザイナーのコラボレーションにフォーカスしたカンファレンスだったのですが、都合4回のセッションで話をしています。初年度はほとんど棒読みで時間を終えるのみの完全敗退となり、特に2年目に関しては相当に練習をして臨みました。伝わる表現、間の取り方、アメリカンジョークの仕込みwなども海外居住経験の長いMSの皆さんにレビューしてもらいつつ、なんとか形にできました。この段階では、「特定の相手に伝えるための伝え方がある」と言うレベルに来ていました。ここで現職の役員たちがセッションを見ていたのも現在に至るきっかけになっています。
 
その後現在のインフラジスティックスに参加し、少なくとも毎週上司に1−1で報告をしなければいけない状況になりました。営業的にはもちろんいい時も悪い時もあるので、常に説明の連続です。ここではやり方どうこうはともかくとして、とにかく「聞いて喋る場数をこなす」ことの繰り返しだったように思います。もちろん、ここでも他のディレクターがどう「言い訳」をするかなど、特定のフレーズを学んでもいると思います。
 
ここまで読まれて、私が何か特殊な状況に置かれたからこそ学べたのではないか、と感じられるかもしれませんが、どちらかと言うと自分からそう言う状況を選んだ結果だと思います。重要な点としてどの状況においても「準備ができたから始めたのではなく、準備はできていないがやらざるを得ない状況にした」というところがあります。多くの方が、例えばTOEICで何点取ってから留学しようとか、今のレベルではとても太刀打ちできないのでまだ仕事で英語を使う職場にはいけない、というような意見を持っています。もちろんある程度の準備は必要かもしれませんが、まずはそこに行く理由があるのであれば飛び込んでしまうのが手っ取り早いと思います。
 

忘れてしまいたい「恐れ・ビビり」とはどんなものか

一歩踏み出して、頑張って喋ってみたものの、相手が「はぁ?何言ってんだこいつ?」みたいな感じになってその後ショボーンてなって話せなくなった、なんてことはよくあります。私もありました。何ですが、ほとんどの場合、相手はこちらが思ってるほど「はぁ?」とはなってません。「what do you mean?」「sorry, I don't understand」「what's that?」どれもよく言われますが、何度でも通じるまで話せばいいんです。相手はこちらが何を言ってるのか知りたいから聞いてきていると思ってください。特にアメリカの人なんかは、英語を話す人が全員英語ネイティブじゃない前提に立てていることは多いです。IT業界だと特にそうかもしれません。
 
あるいは、いいペースでしゃべっているスピードを止められずに話したいことも話せなかった、ということもあるでしょう。スライドにもロッシェル・カップさんに教えてもらった一旦会話を遮るフレーズがありますが、場合によってはボディランゲージでもなんでも使って、言いたいことを伝えるために止めましょう。何も発言しないのであれば、そのミーティングに何で出てきたんだっけ?と思われるだけです。
 
 基本的に相手は、「そこは空気を読んでうなずいておけ、とは思っていない」と考えておいたほうがいいと思います。なんとなく、Yeah, yeahを連発した結果、結局何考えてんだ?とか振られた時のバツの悪いことといったらありません。わからなければ即止めてでも聞く。自分の考えが違うならできるだけ早く伝える、というのが基本になるかなと思います。今まで持っていた恐れやビビりは、この機会に忘れてしまいましょう。英語を使うのではなくて、まずはエイゴを使ってみるのですから。

一番必要なものは「根拠のない自信」だ

完全に自己流の解釈ではあるものの、大前提として自分でコミュニケーションする内容に自信を持って、次に自分のエイゴにも別に根拠なく自信を持ってしまって、ボリュームも以前英会話した時の3倍で話す気で行くとまぁまぁうまくいきます。「おぉ、なんだかわからないけど、こいつは何か言いたいことがあるみたいだな。多少言葉は変だけど聞いてみよう」と思わせればこっちのものだと思います。ほとんど松岡修造さんの教訓みたいな話になってますが、ほぼ経験上間違い無いかと思います。

今や学習コストはとても低い

NetflixやHulu、AmazonPrimeなどはどれも英語字幕もある番組が多く、私がやったようにDVDボックスを借りる(買ってはいないw)必要もありません。また、実際に話をする機会もネットのおかげでかなりたくさん見つけることができます。meetupなんかを検索すればすぐに英語のコミュニティが出てきますが、もし東京付近にいらっしゃる方であれば、ぜひ私たちがやっている「en-jp」の参加も検討してみてください。

www.meetup.com

そもそもなんでやっぱり英語やんなきゃいけないのか、という話については長くなったので次で書こうと思います。